スポット溶接・精密溶接専門のこだま製作所の「事例紹介」です。

「抵抗溶接の種類(工場現場からの解説)」

抵抗溶接は産業革命後、金属製品の部品接合を最も合理的にした接合技術で、ガス器具・家電製品・建築部品・自動車・電車等、さまざまな産業で、製品を世の中に排出することのできた画期的な技術と言って過言ではないと思います。「こだま」は、創業50余年、日本の高度成長期の背景の中、さまざまな産業の移り変わりにおいて(建築・自転車・ガス⇒家電・照明器具・自動車・車輛⇒半導体・AV機器・EV  等の国内生産としての移り変わり)部品接合として抵抗溶接に携わってきました。その経験値から、ここでは、解説を行います。

抵抗溶接とは、溶接したい2片の金属母材を上下から電極で挟み込み、接触部を電極で加圧を行い、加圧した電極より金属母材へ大電流を流すことにより電気抵抗によるジュール熱を発生させ局部的に発熱・溶融させ接合される溶接工法です。局部的に短時間で溶接を行うため、溶接熱による部材への熱影響も少なく、主に電極を変えることで、さまざまな溶接工法へと変化することが出来ます。


抵抗溶接は総称で、抵抗スポット溶接、プロジェクション溶接、バット溶接、抵抗シーム溶接、抵抗スタッド溶接の、大きく5つの工法があります。


1)抵抗スポット溶接

スポット溶接機2.png
抵抗溶接機(スポット溶接仕様)
スポット溶接の原理2.png

スポット溶接は、抵抗溶接機にプラテン部分にホーンという、いわば機械の腕にあたる真鍮(一般的に使用されている)の無垢材を取り付け、先端に電極を取り付けたホルダーを固定して使用します。電極は、ストレートタイプ、エルボタイプ、または自作の特殊なものまで、被溶接材に合わせて、最適なものを選択します。また、高出力の機種では、非鉄金属の溶接が可能です。


抵抗スポット溶接の特徴

長所
①溶接時間が短いので、他の溶接方法(抵抗溶接以外)に比べ加工コストが極めて低い。
②短時間で溶接が出来るので、加熱域が溶接部近傍に限られるため、被溶接材の熱歪が少ない。
③機械的作業のウエイトが高いため、一般的な製品の溶接においては、作業者の熟練度をほとんど必要としない。
④溶接棒やフラックスが不要で、有害な紫外線やヒュームが発生しない。
⑤機種と電極の選択で、t0.03~の金属板、金網(メッシュ)、線材、鉄、非鉄金属等、幅広い範囲での溶接が可能。

短所
①大きな電流が必要なため、溶接機および受電設備の電気容量が大きくなる場合がある。
②機種にもよるが、溶接機の価格が比較的高い。
③被溶接材に対し、機種の選択が必要となり、溶接電流、通電時間、加圧力、電極形状などの溶接条件を、
 被溶接材の材質や板厚ごとに選定する必要がある。
④接合状態を外観から判定しにくく、判断基準を設けるには熟練度が必要となる。
 ※高い判断基準が設けることが出来れば、大量生産においても安定した溶接が望める。

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SUSt3.0の強度重視のスポット溶接

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アルミスポット溶接



2)プロジェクション溶接(抵抗溶接)

プロジェクション溶接機.png

抵抗溶接機(プロジェクション溶接仕様)
プロジェクション溶接2.png


プロジェクション溶接
は、抵抗溶接機にプラテン部分に直接専用の電極を取り付けて使用します。
被溶接材に、予めプレス加工もしくは、切削加工でプロジェクション(突起)を施し、上図のように、溶接電流をプロジェクションに集中させて溶接を行いますので、溶接後の被溶接材に対する負荷(熱歪等)を、最小限に抑えることのできる溶接方法です。

画像15スポット溶接 11013.jpg
プロジェクション(突起)
画像15スポット溶接 11014.jpg
プロジェクション溶接後


プロジェクション溶接の特徴


長所
①溶接時間が短いので、他の溶接方法(抵抗溶接以外)に比べ加工コストが極めて低い。
②プロジェクション(突起部)に熱が集中するため、熱影響を最低限に抑える事ができ、安定した溶接状態が確保できる。
③複数の部品を一度に溶接することにより、位置精度を得やすい。
④機械的作業のウエイトが高いため、一般的な製品の溶接においては、作業者の熟練度をほとんど必要としない。
⑤溶接棒やフラックスが不要で、有害な紫外線やヒュームが発生しない。
⑥他の抵抗溶接方法に対し、溶接条件の設定が容易である。

短所
①機種にもよるが、溶接機の価格が比較的高い。
②被溶接材へのプロジェクション加工や、冶具電極製作が生じるので、少量生産に対応しにくい。
③被溶接材としての部品の位置決めなどを行う場合、冶具電極が必要となり、設計能力が必要となる。


3)マッシュ溶接

マッシュ溶接.png
抵抗溶接機(マッシュ溶接仕様)
マッシュ溶接状態図.png


マッシュ溶接は、抵抗溶接機にプラテン部分にホーンという、いわば機械の腕にあたる真鍮(一般的に使用されている)の無垢材を取り付け、先端に専用の電極を取り付けたホルダーを固定して使用します。
被溶接材の片方接合部分に、リングプロジェクション(リング状の突起)となる段差を施し、相手側の穴とその段差を加圧通電することによって塑性流動させた界面を固相接合させる溶接方式です。

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スチール家具部品のマッシュ溶接
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スパイクのマッシュ溶接

マッシュ溶接の特徴


長所
①溶接時間が短いので、他の溶接方法(抵抗溶接以外)に比べ加工コストが極めて低い。
②リングプロジェクションに熱が集中するため、熱影響を最低限に抑える事ができ、安定した溶接状態が確保できる。
③機械的作業のウエイトが高いため、一般的な製品の溶接においては、作業者の熟練度をほとんど必要としない。
④溶接棒やフラックスが不要で、有害な紫外線やヒュームが発生しない。
⑤他の抵抗溶接方法に対し、溶接条件の設定が容易である。

短所
①機種にもよるが、溶接機の価格が比較的高い。
②被溶接材へのリングプロジェクション加工が必要。
③リングプロジェクションの形状を決めるのに、試作(溶接テスト)を繰り返す必要がある。




4)バット溶接(抵抗溶接)

バット溶接機.png
抵抗溶接機(バット溶接仕様)
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縦方向に加圧をかけることで、電極を横方向にスライドさせる構造にて溶接


バット溶接
は、抵抗溶接機にプラテン部分にホーンという、いわば機械の腕にあたる真鍮(一般的に使用されている)の無垢材を取り付け、先端にバット溶接専用の電極を取り付けて使用します。ばた、バット溶接専用機もあります。
他の抵抗溶接との違いは、線材やフラットバーの溶接を行います。

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線材のバット溶接
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フラットバーのバット溶接



バット溶接の特徴

長所
①溶接時間が短いので、他の溶接方法(抵抗溶接以外)に比べ加工コストが極めて低い。
②短時間で溶接が出来るので、加熱域が溶接部近傍に限られるため、被溶接材の熱歪が少ない。
③機械的作業のウエイトが高いため、一般的な製品の溶接においては、作業者の熟練度をほとんど必要としない。
④溶接棒やフラックスが不要で、有害な紫外線やヒュームが発生しない。
⑤抵抗溶接機のスペックを変えることで、極細線からパイプ溶接まで可能。

短所
①大きな電流が必要なため、溶接機および受電設備の電気容量が大きくなる場合がある。
②機種にもよるが、溶接機の価格が比較的高い。
③被溶接材に対し、機種の選択が必要となり、溶接電流、通電時間、加圧力、電極形状などの溶接条件を、
 被溶接材の材質や線径ごとに選定する必要がある。
④溶接後、溶接部に膨らみ(溶け込み)が生じる。


5)抵抗シーム溶接(抵抗溶接)

シーム溶接機.png
抵抗溶接機(シーム溶接仕様)
シーム溶接.png


シーム溶接は、抵抗溶接機のホーン上下先端に、円盤状の電極を取り付け、円盤の間に被溶接材2枚を重ね通し、連続的な通電と、加圧を電極の回転によって行い金属板や、網を直・曲線上に被溶接材を重ねた状態で、溶接することが出来ます。シーム溶接としては ,突き合わせて溶接する、ティグ(アルゴン)溶接やレーザー溶接でも、良好な溶接が可能ですが、ワーク精度が必要になり、溶接加工費としても上昇します。

抵抗シーム溶接の特徴

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産業ロボットに設置した抵抗シーム溶接

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金網の抵抗シーム溶接


長所
①タンク等の気密溶接が、ワーク精度を要せず溶接できる。
②素材分子の拡散状態にて接合できる。
③機械的作業のウエイトが高いため、一般的な製品の溶接においては、作業者の熟練度をほとんど必要としない。
④溶接棒やフラックスが不要で、有害な紫外線やヒュームが発生しない。


短所
①大きな電流が必要なため、溶接機および受電設備の電気容量が大きくなる場合がある。
②機種にもよるが、溶接機の価格が比較的高い。
③被溶接材に対し、機種の選択が必要となり、溶接電流、通電時間、加圧力、溶接条件を、
 被溶接材の材質や板厚によって選定する必要がある。
④ティグ(アルゴン)溶接やレーザー溶接に比べ、溶接による熱吸収のためのクランプが使用できない為、平板状態の被溶接材
 においては、著しく熱歪が生じてしまう。


6)抵抗スタッド溶接(抵抗溶接)

スタッド溶接.png sutaltudo.png


抵抗スタッド溶接は、抵抗溶接機にプラテン部分にホーンという、いわば機械の腕にあたる真鍮(一般的に使用されている)の無垢材を取り付け、先端に電極を取り付けたホルダーを固定して使用します。抵抗スポット溶接と使用する原理は同じで、電極のみが変わります。

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抵抗スタッド溶接電極
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抵抗スタッド溶接


長所
①溶接時間が短いので、他の溶接方法(抵抗溶接以外)に比べ加工コストが極めて低い。
②短時間で溶接が出来るので、加熱域が溶接部近傍に限られるため、被溶接材の熱歪が少ない。
③機械的作業のウエイトが高いため、一般的な製品の溶接においては、作業者の熟練度をほとんど必要としない。
④溶接棒やフラックスが不要で、有害な紫外線やヒュームが発生しない。
⑤機種と電極の選択で、t0.03~の金属板、金網(メッシュ)、線材、鉄、非鉄金属等、幅広い範囲での溶接が可能。
⑥CD方式のスタッド溶接と違って、電極を変えることで、さまざまなバリエーション(溶接条件)に対応ができる。

短所
①大きな電流が必要なため、溶接機および受電設備の電気容量が大きくなる場合がある。
②機種にもよるが、溶接機の価格が比較的高い。
③被溶接材に対し、機種の選択が必要となり、溶接電流、通電時間、加圧力、電極形状などの溶接条件を、
 被溶接材の材質や板厚ごとに選定する必要がある。
④CD方式のスタッド溶接と比べて、母材表面に溶接跡が出やすい。

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