真鍮は熱間鍛造性に優れていて、加熱によって複雑な形状に成形しやすく、展延性にも優れ板材など容易に成形ができ、切削性も高い材質です。ただ、溶接の視点ではその優れた特性の反面、一般的には溶接方法の範囲は限られているという認識があるようですので、解説と溶接方法をご紹介します。また、快削黄銅(C3601やC3604など)接合後に粘りが少ないため割れやすく、板材などに多いC2801やC2680は快削黄銅より粘りが有るため、接合後も割れにくい傾向にあります。
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1)銅と亜鉛の合金である真鍮は、合金のなかでも電気伝導性が高いのが特徴の
ひとつで、その電気伝導率は、銀を100として97以上で、
電気抵抗を利用した抵抗溶接では、高い溶接電流が必要となる。
2)亜鉛含有率が20%以上であるため、ティグ溶接などでは、亜鉛が燃焼し
溶融に伴い吹き上がりが生じて、ブローフォールなどが生じやすい。
3)空気中で表面が酸化されて酸化銅(黒ずみ)という皮膜が生じ、その状態で
溶接した場合、溶接部分が不安定になるため、適切な在庫管理が必要。
このように真鍮の溶接は困難な面が多いですが、「こだま」では真鍮における様々な溶接・接合に対応してきましたので、溶接方法の選択、適切な溶接条件の設定を行うことで、「真鍮の溶接」に対応しています。
スポット溶接 ・ プロジェクション溶接・TIG溶接(アルゴン) ・ ロウ付け
真鍮の溶接事例は、こちらから
抵抗溶接とは、溶接したい2片の金属母材を上下から電極で挟み込み、接触部を電極で加圧を行い、加圧した電極より金属母材へ大電流を流すことにより電気抵抗によるジュール熱を発生させ局部的に発熱・溶融させ接合される溶接工法です。局部的に短時間で溶接を行うため、溶接熱による部材への熱影響も少なく、主に電極を変えることで、さまざまな溶接工法へと変化することが出来ます。
抵抗溶接は総称で、抵抗スポット溶接、プロジェクション溶接、バット溶接、抵抗シーム溶接、抵抗スタッド溶接の、大きく5つの工法がありますが、真鍮の溶接に適しているのは、抵抗スポット溶接とプロジェクション溶接となります。
①スポット溶接(抵抗溶接)
スポット溶接とは抵抗溶接の一種で溶接したい2片の金属を電極で上下から挟み込み
接触部を加圧しながら大電流を流すことで電気抵抗により材料が局部的に発熱し(ジュール熱)、
溶融して接合される溶接工法で、抵抗溶接ではポピュラーな工法です。
真鍮のスポット溶接では溶接するための条件範囲が狭く、設定値が低すぎると溶接出来ず
高すぎたり、不純物が付着していると爆飛(溶接部が爆発的に飛散し穴が開く現象)してしまいます。
「こだま」では長年の経験と技術で、高い品質の真鍮スポット溶接をご提供しておりします。
②プロジェクション溶接(抵抗溶接)
プロジェクション溶接.は、抵抗溶接機にプラテン部分に直接専用の電極を取り付けて使用します。
被溶接材(真鍮)に、予めプレス加工もしくは、切削加工でプロジェクション(突起)を施し、上図のように、溶接電流をプロジェクションに集中させて溶接を行いますので、溶接後の被溶接材(真鍮)に対する負荷(熱歪等)を、最小限に抑えることのできる溶接方法です。量産時における薄板金属の合理的な接合方法としても有効で、厚板の接合にも適しています。
![]() 真鍮板t2.0錫メッキ側にプロジェクションを 施し、t0.5板を溶接を行った事例。 |
![]() 真鍮板t0.5側のスポット溶接状態 凹については、調整可能です。 |
ロウ付けとは、部品の接合方法の一種で、一般的には接合しようとする部品と部品を
ガスバーナー等で加熱し、加熱された部分間にロウ材(真鍮・銀合金)を近づけ溶かし
部材間に流し込み冷却を行い接合する工法です。
真鍮と銀ロウ等のロウ材は非常に相性がいいため、他の溶接方法で接合出来ない場合には
ロウ付けでの接合を行います。また銀ロウが使用できない場合には真鍮ロウの使用も可能です。
![]() ガスバーナーによるロウ付け |
![]() 真空ロウ付け(ブレージング) |
ロウ付けとしては、他に機械的に接合部を加熱して、真鍮母材を接合する抵抗ロウ付けや、
ロウ材を母材にセットして、炉中で接合を行う真空ロウ付け(ブレージング)も対応しています。
![]() 抵抗ロウ付け |
![]() 抵抗ロウ付けの事例 |
電極にタングステンを使用し、不活性ガスをシールドガスとしてトーチノズル内に流し、融点の高いタングステン電極と母材との間にアークを発生させ、集中させて溶接を行う工法です。真鍮の薄板や精密な溶接等、非鉄金属の溶接に適しています。
真鍮の溶接では、母材同士の共付けも有効ですが、真鍮の溶加棒を加えることで、溶接強度が、格段に上がります。
真鍮板のティグ溶接 |
![]() 真鍮線材のティグ溶接 |
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◆溶接試作・立上げ支援・試験品の分析
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◆治具製作
銅と亜鉛との合金で、機械加工・板金加工・鋳造が容易で、機械部品・建築金物など広く用いられれています。ただ、表面酸化が早い材料ですので、外観を必要とする場合は表面処理が必要です。
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